隣の猫2話

僕は前足を踏み出した。

 

外にでた瞬間

自分の背丈よりも高い雑草が姿を現した。

もはや森である。

 

気合いを入れて飛びだしたはずなのだが躊躇した。

 

そう。

僕は虫が苦手なのだ。

 

子供のころは虫を追いかけていたというのに

いつの頃からか苦手になってしまったのだ。

 

なんて、こんなどうでもいいことは思い出すのか。。

 

でも進まなければいけない。

意を決して踏み出した!

 

一歩。また一歩。

踏み出すたびに慌てた虫たちが

一斉に飛び立つ。

 

バッタ、カマキリ、てんとう虫、くも、芋虫

「ひぃぃぃぃ」

 

なぜ虫たちは慌てながらもこちらに向かってくるのだろう。

遠くに逃げれば、逃げてくれれば何もしないのに。

 

僕は走りだした!!

かきわけて、かきわけて

かきわけて、かきわけて

背筋に何度も悪寒を感じながら

「だぁぁぁ」

やっとの思いで抜けた。

 

次の瞬間ものすごい地鳴りとともに

右からなにか大きな黒いものが近づいてくる。

 

とっさに僕は体をひねって避けた。

体操選手のようなひねりとジャンプ。

今なら金メダルも狙えると思った。

 

僕にこれほどの運動神経があるとは、、

 

そしてその黒いものが車のタイヤだということが後からわかった。

避けなかったら僕は轢かれていたのか。

 

この状況を冗談交じりに軽く思っていたが

このとき初めて「死」というものを間近に感じた。

背筋にゾッとするものが通った。

九死に一生を得た僕は臆病なほど慎重に進んだ。

 

目の前に広がってきたのは海だった

地平線。立ち並ぶ倉庫。防波堤。

寄せては返す波の音。

 

何か。何か大切なことを思い出せそうだった。

その時後ろから声がした。

 

「ぱぱ〜〜!ねこがいるよ〜」

「お!本当だね〜。白い猫だね〜」

 

振り返ると5歳ぐらいの帽子をかぶった半袖半ズボンの男の子と

少し小太りの30歳半ばぐらいのジーパンにTシャツ姿のお父さんがいた

 

「おいで〜」

 

手を伸ばしてくる男の子。

僕は猫らしく体をすりつける。

 

なんてことはせず

そのお父さんに向かって叫んだ。

 

「ア〝〜〜〜〜〜ィ(すいません!信じてもらえないと思いますが

僕、人間なんです!目が覚めたら猫になってたんです!

助けてください!!)

 

 

「ア〝(すいませ、、)

 

『ア(え?)」

 

、、話せなかった。さっきから話せていると思ってたのは勝手にそう思っていただけだったのだ。

 

「ぱぱ〜!このねこへんななきごえ〜〜」

「そうだね。きっとどこか悪いのかもしれないね。」

 

遠くから2人を呼ぶ声がした。

 

「ほら!早く行くわよ〜」

 

お母さんだ。

 

「いくわよ〜〜」

 

その隣には3歳ほどの

男の子がお母さんのマネをしている。

 

「は〜〜い。まま〜〜。ばいばい〜」

 

4人は楽しそうに幸せそうに

歩いていった。

その後ろ姿がなぜか目に焼き付いて離れなかった。

 

親子が去った後

僕は話せなかったことにショックを受けて

呆然としていた。

 

人に会えばこの状況はよくなると思っていた。

一つの希望が脆くも崩れ去ったのだ。

その時また後ろから声がした。

 

『にゃお(こんにちは)」

 

振り向くと黒い猫がいた。

 

「ア、、」

 

陽のひかりのせいかノラ猫であろう黒猫も

どこか美しく見えた。

この出逢いが僕を変えていくなんてこの時は思いもしなかった。

 

2話終わり

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コメント: 2
  • #1

    seks telefon (水曜日, 01 11月 2017 03:04)

    Nienartowicz

  • #2

    seks telefon (土曜日, 18 11月 2017 00:31)

    niezmieniany

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