隣の猫3話

「にゃお(こんにちは)」

 

振り向くと黒い猫がいた。

 

「にゃう?(あなたはだれ?)

 

確かに猫の鳴き声にしか聞こえないのに

その言葉、いや、鳴き声?が理解できるのだ。

猫と会話ができるのだろうか。

僕は思い切って声を出してみた。

 

「あ〝〜〜〜(助けてくれ!!)」

 

心からの叫びだった。

しかし黒猫はよくわからないといった仕草で

僕を見ていた。

 

「にゃあおう(びょうきなのね。)」

 

かわいそうに。黒猫は僕をみて言った。

そして僕の周りをくるくる回りだした。

 

自分の体を舐めながら時折僕の匂いを確認する。猫らしい仕草だ。

僕も姿は猫だ。どこからどうみても猫だ。

なのに猫にさえ言葉が通じない。

 

中身は人だ。なのに人にさえ何も通じない。

今の僕にはどうしようもなかった。

 

どうしようもない、、どうしようもない状況なのに

どこからか魚の匂いがした。

 

そいえば僕はいつから食べてないのだろう?

こんな時でも腹は減るもので

それは気づいてしまったらそれしか考えられないのだ。

 

前足でお腹をさすってみた。

かなり無理な体勢だった。猫らしくない仕草だ。

 

「にゃあん?(どうしたの?)」

 

周りを回っていた黒猫もこの奇妙な体勢に少し警戒の色を示した。

 

「あぁ〝〜〜(お腹が減ったんだ)」

 

ほとんど無意識に声を発していた。

ため息に似たような声だ。

 

黒猫は僕をじっと見て何かを察したように

すっと立ち上がって言った。

 

「にゃん(こっち)」

 

とてとてと歩き出した。

選択の余地など僕にはなかった。

ついていくしかない。

 

黒猫の3歩後ろを同じような歩幅で

僕も歩き出した。

 

3話 終わり

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    ちか (木曜日, 16 1月 2014 21:46)

    読みやすかったです

TOPICS

COVER SONGS

『数馬cover songs』

 再生リスト

数馬ついーと